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vol.12 売上推定方法

売上予測の目的


出店する前に最も心配するのは、「この場所で出店したらどれくらい売れるのか?」という事ではないでしょうか。

前もって売上が推定できれば、人件費、原価、賃料、諸経費等からおおよその利益が分かり、出店の意思決定に大いに役立つ情報になります。

そのため、小売業や飲食業界では売上を推定する様々な手法が研究されてきました。
ただし、精度が100%という事は無く、いずれも「ある程度予測できる」というものです。

売上予測の基本はデータを集めて分析する事ですが、精度が100%でない理由として、例えば、人口が日々増減する、衝動的な来店がある、天候で客足が変わる等、正確に捉える事ができないデータが多くあるからです。

ただし、常に「どれくらいの売上が見込めるか」という事を念頭に置いて調査・分析を続ければ高い精度で売上を予測する事ができるようになります。

売上予測の手法


売上の予測にはどのような手法があるのでしょうか?
以下に代表的なものを挙げます。

・簡便法(一例)
客数×客単価×営業日数といった簡単な式で売上を予測する手法。

・ハフモデル
ある地域に住む消費者が、ある商業施設で購買する確率は商業施設の規模に比例し、そこに到達する時間距離に反比例するという予測手法。

・ケイン法
シェア率と売場面積比率から売上予測する手法。

・統計解析法
複数の説明変数に回帰係数を乗じ求めた線形モデルで売上予測する手法。

各手法の詳しい説明は割愛しますが、それぞれ一長一短があります。
例えば、簡便法は非常に分かり易いのですが、客数をどうやって求めるかという問題があります。
通行量を加工して推定する場合もありますが、精度の面ではいまひとつです。

ハフモデルやケイン法はどちらかと言うと大型の小売店向けの手法であり、小規模の飲食店には向かないと言われます。

統計解析法は小規模の店舗にも適用可能ですが、サンプル数が多くあるチェーン店向けの手法です。

それではサンプル数が少ない場合、あるいは1店舗目での出店はどうすればよいのでしょうか?
これについては、次回説明させて頂きます。

売上予測の準備


店舗を新規で出店する時の売上予測には様々な手法があります。
ただし、大規模小売店向けやチェーン店向けの手法しかないのが現状です。

サンプルとする店舗が少ない、あるいは1店舗目の場合は、メニューや価格帯が似ている店舗をサンプルとしてデータを集めます。

立地のデータを集めるのは大変ですが、なるべく多くのデータを集める方が予測の精度は高くなります。また、その際、以前ご紹介した「競合店の売上予測法」を参考にし、売上の推定値を記入しておきます。

データを一覧表にし、売上の推定値と立地調査データを眺めると、売上と関係性が強い項目とそうでない項目があることに気付きます。

売上予測事例


以前使用した簡単な例に、売上の推定値を加えたケースで考えて見ます。
A店・・・・推定売上300万円、商圏世帯数1000、通行量300人
B店・・・・推定売上200万円、商圏世帯数2000、通行量100人

2店舗の推定売上と立地データを見比べると、売上と通行量の関係性が強い事が分かります。
逆に、世帯数は売上と関係が無いようです。

単位が異なるデータの数値を直接足す事は出来ないので、まずデータを標準化します。

A店・・・・世帯数-0.32、通行量0.60
B店・・・・世帯数1.00、通行量-0.81

立地を構成する要素毎の影響度を考慮するには、数値を単純に合計するのではなく、重みをつけた計算式を作る必要があります。

具体的には、以下のような関係式を作成します。
A店・・・・推定売上300万円=(世帯数)-0.32×a+(通行量)0.60×b
B店・・・・推定売上200万円=(世帯数)1.00×a+(通行量)-0.81×b

この係数a,bが推定売上に対する立地項目の影響度という事になります。
関係性が強い項目に任意の係数を掛けても良いですいし、係数に以前紹介した相関係数を用いるのも手法の1つです。(もちろん、係数が常識とかけ離れていればサンプルや立地データの選定を見直す必要があります)

A店、B店の例だけで見ると売上と世帯数は関係ないように思えますが、サンプル店舗がもう1店あったとします。
C店・・・・推定売上500万円、商圏世帯数6000、通行量200人

サンプル数が2店舗だけでは関係ないと思えた項目(商圏世帯数)が、実は売上と関係がある事が分かります。この例からみても、多くのデータ舗を集める重要性がおわかり頂けると思います。